オーストラリアの所得税とタックスリターンの仕組み

オーストラリアで仕事やアルバイトをすると所得税が給与から徴収され、タックスリターンという年に一度の所得申告手続き(確定申告)が必要になります。これは留学やワーキングホリデーなど、オーストラリアで1ドルでも収入のある全ての人が対象です。オーストラリアの所得税の仕組みと、過払い分の税金が戻ってくるかもしれないタックスリターンの手続き、そしてスーパーアニュエーション(年金)についても説明します。

オーストラリアの所得税とは

オーストラリアにも日本と同様、給料が支給される際に引かれる、所得税(income tax)制度があります。所得税とは、働いて得た給料(所得)に応じて徴収される税金で、オーストラリアでは7月1日〜6月30日を会計年度とし、この間の所得を対象に所得税を計算します。

所得税は、ワーキングホリデーや学生ビザで働く場合も徴収対象で、所得税の税率は税法上の「居住者」か「非居住者」かによって異なります。自分がどちらの区分に該当するか、以下を見てみましょう。

オーストラリア非居住者(ワーホリなど)の所得税率

「非居住者」は、ワーキングホリデー・ビザ、または26週間以下の学生ビザで滞在している人のことです。非居住者の所得税率は2017年1月に変更され、3万7,000豪ドル未満の所得であれば、所得税率は15%に決定しました。これは通称バッパー税(Backpackers tax)とも呼ばれ、オーストラリアでワーホリとして働くほとんどの人にはこの税率が適用されています。

非居住者の所得税率は以下の通りです。

非居住者の税率(2017-2018)

課税所得(豪ドル) 税率
0〜37,000 15%(1ドルあたり15セント)
37,001〜87,000 32.5%(1ドルあたり32.5セント)
87,001〜180,000 37%
(87,000ドル以上に対し、28,275+1ドルあたり37セント)
180,001以上 45%
(180,000ドル以上に対し、62,685+1ドルあたり45セント)

 

例)給料が2万ドルだった場合(非居住者)

非居住者の給料が2万ドル(会計年度中)だった場合の所得税は、以下の通りです。

所得が「3万7,000ドル以下」のため、所得税率15%が適用。

→ よって、20,000 × 0.15 = 3,000ドル が所得税額です。

例)給料が4万ドルだった場合(非居住者)

非居住者の給料が4万ドル(会計年度中)だった場合の所得税は、以下の通りです。

所得が「3万7,000〜8万7,000ドル」の間のため、所得税率32.5%が適用。

→ よって、40,000 × 0.325 = 13,000ドル が所得税額です。

オーストラリア居住者(長期学生ビザなど)の所得税率

「居住者」の対象となるのは、永住権、ビジネス・ビザ、27週間以上の学生ビザで滞在している人です。居住者の所得税率は以下の通りです。

居住者の税率(2017-2018)

課税所得(豪ドル) 税率
0〜18,200 0%
18,201-37,000 19%
(18,200ドル以上に対し、1ドルあたり19セント)
37,001-87,000 32.5%
(37,000ドル以上に対し、3,572+1ドルあたり32.5セント)
87,001-180,000 37%
(87,000ドル以上に対し、19,822+1ドルあたり37セント)
180,001以上 45%
(180,000ドル以上に対し、54,232+1ドルあたり45セント)

 

例)給料が2万ドルだった場合(居住者)

居住者の給料が2万ドル(会計年度中)だった場合の所得税は、以下の通りです。

所得が「18,201〜37,000ドル」の間のため、所得税率19%が適用。

よって、(20,000 – 18,200) × 0.19 = 342ドル が所得税額です。

例)給料が8万ドルだった場合(居住者)

居住者の給料が8万ドル(会計年度中)だった場合の所得税は、以下の通りです。

所得が「37,001〜87,000ドル」の間のため、所得税率32.5%が適用。

よって、(80,000 – 37,000) × 0.325 + 3,572 = 17,547ドル が所得税額です。

オーストラリアのタックスリターン(Tax Return)とは?

タックスリターン(Tax Return)とはオーストラリアの所得申告手続きで、会計年度中に得た給与総額をオーストラリア国税局(ATO)に申告する、日本の確定申告のようなものです。タックスリターンの「リターン」はお金が戻ってくるという意味ではなく、「申告」という意味。タックスリターンと聞くと税金の返金手続きと思われがちですが、必ずしもお金が戻ってくるとは限りません。

どういう場合にお金が戻ってくる?

タックスリターン申請で計算された結果、勤務先で源泉徴収(会社が給与から所得税分を引き、先に国に納めること)された金額が多ければ本人に返金され、少なければ足りない分を国に納めなければなりません。オーストラリアでは、毎年7月1日〜10月31日の期間内に必要書類をそろえてタックスリターン手続きを行う必要があります。

タックスリターンに必要な書類とは?

タックスリターンに必要な書類は以下の通りです。たいていのワーホリや学生ビザの人は主に、以下の1〜4と11を用意し、その他は必要な場合のみ用意します。

  1. タックス・ファイル・ナンバー(TFN)
  2. ペイメント・サマリー(PAYG、源泉徴収書のようなもの)
  3. 還付金を受け取るための銀行口座情報
  4. 会計期間内に受け取った銀行の利息
  5. 株の配当金の支払い証明書
  6. 投資ファンドの記録
  7. 不動産収入・ビジネス収入の内訳
  8. 必要経費などの領収証
  9. 民間医療保険(永住者のみ)
  10. 配偶者の収入(必要な場合のみ)
  11. パスポート、ビザの証明(メディケア保険料免除の場合のみ)

タックスリターンの申請方法

タックスリターンの申請方法には、①インターネットを使って自分で申請する方法(無料)と、②登録税理士などの専門エージェントに依頼する方法(有料)があります。タックスリターンは手続きを誤ったり遅れたりすると罰金を課せられることもあるため、税金の専門家に依頼する人が多いです。

タックスリターン申請を自分で行う場合、「myGov」というオーストラリア政府のオンライン・システムを使います。myGovの利用には、myGovとオーストラリア国税局(ATO)のアカウントを作る必要があります。

スーパーアニュエーションとは

スーパーアニュエーションとは、オーストラリアの退職年金制度のことです。従業員が勤務先を退職するまでの間、雇用者により給料の9.5%に相当する金額が、スーパーアニュエーション・ファンドという年金運用のための口座に積み立てされます。

スーパーアニュエーションは、18〜70歳かつ、1カ月の収入が450ドルを超える場合であれば、国籍やビザの種類に関係なく、オーストラリアで働く全ての人に適用されます。スーパーアニュエーションは基本的に老後のための積立金なので、退職時に引き出すことが前提とされていますが、ワーホリや学生など短期滞在者の場合は帰国時に返金手続きをすれば引き出すことができます。

スーパーアニュエーション返金対象者

スーパーアニュエーション・ファンドを持っている人のうち、スーパーアニュエーションの引き出しができる対象者は以下の通りです。

  • 1カ月以内に帰国予定
  • すでにオーストラリアを出国している(永久的に)
  • ワーホリや学生ビザなどの期限が切れている

スーパーアニュエーション返金申請の方法

スーパーアニュエーションの返金方法には、オンラインと郵送があります。オンラインの場合はオーストラリア国税局(ATO)のウェブサイト から申請することができます。郵送の場合はATOで申請用紙を受け取り、かつスーパーアニュエーションファンドから申請に必要な書類を発行してもらう必要があります。また、税理士や会計士などに依頼して手続きを代行してもらうことも可能です。

スーパーアニュエーションに関する詳しい情報は、こちらのページをご覧ください。

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